3級を飛ばしていいのは「条件つき」です
簿記2級からいきなり受験することは制度上できます。3級の合格は2級の受験条件ではありません。
ただし、勧められるかどうかは人によります。結論を先に書きます。
| あなたの状況 | 判断 |
|---|---|
| 簿記がまったく初めて | 3級から始めるべき |
| 商業高校・大学で簿記を学んだ | 飛ばしてよい |
| 経理実務の経験がある | 飛ばしてよい |
| 3級を昔取ったが忘れている | 3級のテキストで復習してから2級へ |
分かれ目は「3級の内容を知っているか」であって、3級に合格しているかどうかではありません。
なぜ簿記が初めてなら3級から始めるべきか
2級の商業簿記は、3級の内容を前提に組まれているからです。
2級のテキストは「仕訳は分かっている前提」で書かれています。借方・貸方の感覚がない状態で読み始めると、最初の数ページで詰まってしまう。
そして詰まった結果どうなるかというと、3級のテキストを買い直すことになります。これが最も時間を失うパターンです。
私は商業高校で簿記を学びましたが、最初に仕訳が身につくまでにかなり時間がかかりました。この土台部分は飛ばせません。飛ばそうとすると、結局2級の学習中に戻ることになります。
3級を「受験する」必要はあるのか
ここは分けて考えてください。
- 3級の内容を学ぶ → 簿記が初めてなら必須
- 3級を受験する → 必須ではない
3級のテキストで学び、仕訳が身についたら、受験せずに2級へ進むという選択はあり得ます。
ただし、3級を受験するメリットも無視できません。
- 受験料3,300円で、本試験の空気を先に経験できる
- 合格すれば履歴書に書ける
- ネット試験なら随時受けられるため、日程の負担が小さい
- 2級の学習中に挫折しても、3級が手元に残る
最後の点が実は大きい。2級は独学者の脱落が増える級です。何も残らないより、3級があるほうが精神的にも履歴書的にも意味があります。
飛ばしてよい人が注意すべきこと
商業高校や大学で簿記を学んだ方、実務経験がある方は2級から入って問題ありません。ただし2点だけ注意があります。
① 全商簿記と日商簿記は別の試験です
商業高校出身の方は特に確認してください。全商簿記(全国商業高等学校協会)と日商簿記(日本商工会議所)は主催団体も出題範囲も異なります。
一般に就職・転職で評価されるのは日商簿記です。全商簿記2級を持っていても、日商簿記2級を持っていることにはなりません。
ただし仕訳の基礎は共通なので、日商2級へのスタートは有利です。私自身も全商簿記実務検定2級までを在学中に取得しました。
② 工業簿記は誰にとっても初見に近い
3級を飛ばせるかどうかに関係なく、工業簿記は2級で初めて登場します。商業簿記の経験がどれだけあっても、ここは新しく学ぶ必要があります。
私は商業高校の2年次に工業簿記を履修しましたが、商業簿記に慣れていたぶん、最初はかえって戸惑いました。同じ「簿記」という名前でも、やっていることが違うためです。
工業簿記は「原価がどう流れていくか」を追いかける科目です。商業簿記の続きとして読み進めると混乱します。
いきなり2級の場合に必要な勉強時間
簿記が初めての状態から2級を目指す場合、300時間以上を見てください。3級の内容込みになるためです。
3級合格直後から2級に入る場合は150〜200時間程度なので、倍近い差が出ます。時間配分の考え方は簿記2級の勉強時間にまとめました。
具体的な進め方
簿記が初めてで、それでも2級を目指す場合の手順です。
1. 3級のテキストで仕訳を身につける(受験はしなくてよい)
2. 3級の決算整理まで一通り理解する
3. 2級の商業簿記へ進む
4. 商業簿記が半分ほどで工業簿記を並行させる
5. 連結会計・標準原価計算に集中する
1と2を飛ばさないでください。ここが結局いちばんの近道です。
各段階の詳細は簿記3級の独学手順と簿記2級の独学手順をご覧ください。
よくある質問
Q. 3級に受からずに2級を受けても大丈夫ですか?
A. 制度上は問題ありません。3級の合格は2級の受験条件ではありません。
Q. 3級と2級を同時に受けられますか?
A. ネット試験なら別々の日程で受けられます。統一試験でも併願は可能ですが、独学では負担が大きくなります。
Q. 大学の会計学の授業を受けていれば飛ばせますか?
A. 仕訳が書ける状態なら飛ばせます。判断基準は「白紙から仕訳が書けるか」です。読んで分かる程度なら3級のテキストを一度通してください。
Q. 実務で経理をやっていますが2級から入れますか?
A. 入れます。ただし実務で扱わない論点(連結会計など)は初見になるため、油断しないでください。
Q. 2級から始めて厳しいと感じたらどうすべきですか?
A. まず3級のテキストに戻ってください。それでも進まない場合の判断は独学が厳しいと感じたときの見極め方にまとめています。
※本記事は2026年8月時点の情報です。試験制度・受験料は変更されることがあります。受験前に必ず日本商工会議所の公式サイトでご確認ください。
自分の状況に近い記事は、簿記独学の入口から探せます。

