合格体験記は「勉強法」ではなく「精神的な支え」として使う
簿記の独学ブログや合格体験記は、読む価値があります。ただし使い方を間違えると逆効果です。
結論を先に書きます。
- ⭕ モチベーションの維持に使う — 同じ場所でつまずいた人がいると分かるだけで進めます
- ⭕ つまずきポイントの予習に使う — 「連結会計で苦しむ人が多い」と知っておくと構えられます
- ❌ 勉強法をそのまま真似る — その人の前提条件があなたと違います
- ❌ 勉強時間を比較する — 落ち込むだけで、1問も進みません
商業高校で簿記を学んだ経験から言うと、合格体験記に書かれている「◯ヶ月で合格」は、書いた人の状況込みの数字です。そこだけ抜き出しても意味がありません。
体験記を読むときに確認すべき3点
同じ「独学で2級合格」でも、前提が違えば別の話になります。
① その人の簿記歴
3級を直前に取ったのか、商業高校や大学で学んでいたのか、10年前の知識なのか。2級に必要な時間は150〜350時間と幅がありますが、この差の大半は3級の完成度で生まれます。
② 1日に確保できた時間
学生と社会人では、同じ「3ヶ月」の中身が違います。1日6時間の3ヶ月と、1日1時間の3ヶ月は別物です。
③ いつの試験か
簿記は出題区分が改定されます。数年前の体験記だと、範囲が違う可能性があります。投稿日を必ず確認してください。
「2週間で合格しました」を基準にしない
検索するとこうした体験記が見つかりますが、初学者が基準にする数字ではありません。
そういう人には、たいてい次のどれかがあります。
- 会計や経理の実務経験がある
- 大学で会計学を学んでいた
- 1日中勉強できる環境だった
- 3級に合格した直後だった
再現できない条件の上に成り立った記録です。参考にすべきは期間ではなく、「どこでつまずいて、どう抜けたか」の部分だけです。
現実的な目安は簿記3級の勉強時間と簿記2級の勉強時間にまとめました。
体験記から拾うべきもの
役に立つのはこの3つです。
① つまずいた論点とその抜け方
「工業簿記で原価の流れが掴めず、図を描くようにしたら進んだ」——こういう記述は再現できます。
② 使った教材の相性の話
「イラストが多いテキストが合わなかった」といった相性の話は、自分の選定の参考になります。ただし評価そのものは鵜呑みにしないでください。合う合わないは人によります。
③ 試験当日の動き方
解く順番、時間配分、電卓の扱い。本番の立ち回りは体験記でしか得られない情報です。
独学ブログを読む時間には上限を設ける
ここが最も重要かもしれません。
情報収集は、勉強しているような気分になれてしまいます。体験記を10本読んでも、仕訳は1問も解けるようになりません。
目安として、読むのは最初の1〜2本まで。あとはテキストを開いてください。行き詰まったときに、その論点に絞ってまた読めばいい。
詰まっているなら、体験記より別の手を
「他の人はどうやって突破したのか」を探し続けているとき、たいてい状況はこうなっています。
- 同じ論点で2週間以上進んでいない
- テキストを1周したのに模擬問題が半分も解けない
- すでに一度不合格になっている
これは情報が足りないのではなく、教材が合っていない状態です。体験記をもう1本読んでも変わりません。判断基準は独学が厳しいと感じたときの見極め方にまとめました。
このサイトについて
参考までに、当サイトの前提を書いておきます。
運営者は商業高校の商業科出身で、在学中に全商簿記実務検定2級を取得しました。2年次には工業簿記も履修しています。
ただし全商簿記と日商簿記は別の試験です。主催団体も出題範囲も異なり、一般に就職・転職で評価されるのは日商簿記のほうになります。当サイトが日商簿記について書く内容は、公式情報と各講座の公開情報を確認したうえでのものです。
体験記を読むときは、こうした前提を必ず確認してください。それが最も実用的な読み方です。
よくある質問
Q. 独学ブログは信頼できますか?
A. 個人の記録として信頼できます。ただし一般化できるとは限りません。前提条件を確認してください。
Q. SNSの学習アカウントはどうですか?
A. 継続の助けになります。ただし他人の進捗と比べて焦ると逆効果です。
Q. 体験記で紹介されている教材を買うべきですか?
A. 参考程度に。書店で中身を見て決めるほうが確実です。選び方は簿記3級の独学テキストの選び方をご覧ください。
Q. 1級の独学ブログは参考になりますか?
A. なります。1級は情報が少ないため、体験記の価値が相対的に高い。ただし前提は簿記1級の独学は現実的かで確認してください。
Q. 勉強記録をつけるべきですか?
A. 時間の記録より、毎日触ることを優先してください。記録が目的化すると本末転倒です。
※本記事は2026年8月時点の情報です。試験の詳細は日本商工会議所の公式サイトでご確認ください。
級ごとの進め方を最初から確かめたい方は、簿記の独学の全体像をご覧ください。

