目的が決まれば、狙う級は自動的に決まります
「簿記の資格を取りたい」と考えたとき、最初に迷うのがどの級を狙うかです。
結論から言うと、目的によって答えは変わります。そして多くの人にとって、正解は2級です。
| 目的 | 狙う級 |
|---|---|
| 就職・転職で評価されたい | 2級 |
| 経理職に応募したい | 2級 |
| 会社の数字を読めるようになりたい | 3級 |
| 学生で就活に備えたい | 3級 → 2級 |
| 税理士・公認会計士を目指す | 1級 |
| 資格手当がほしい | 勤務先の規定を確認(2級が多い) |
商業高校の商業科出身として周囲を見てきた立場から、それぞれの現実的な位置づけを整理します。
級ごとの位置づけ
3級:履歴書に書ける最低ライン
商業簿記のみ。勉強時間は50〜100時間、独学で十分届きます。
ただし就職の場面では、「学習意欲の証明」として見られることが多いのが実情です。求人票の条件に挙がるのは2級以上が中心になります。
「まず簿記に触れてみたい」「経理の仕事内容を理解したい」という目的なら、3級で十分に役立ちます。進め方は簿記3級の独学手順にまとめました。
2級:実質的な評価ライン
商業簿記+工業簿記。勉強時間は150〜350時間。
経理職の求人で条件に挙がるのは、たいてい2級です。「2級を持っていれば就職できる」わけではありませんが、2級がないと応募できない求人があるという位置づけになります。
独学で取る人も大勢いますが、工業簿記と連結会計という2つの壁があります。詳しくは簿記2級の独学手順をご覧ください。
1級:専門職向け
商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目。勉強時間は500〜1,000時間。
税理士試験の受験資格の1つとされており、会計を専門にする人が目指す級です。逆に言えば、それ以外の目的なら2級で足ります。
1級はネット試験がなく、統一試験の年2回のみ。落ちれば次は半年後です。事情は簿記1級の独学は現実的かで詳しく書きました。
独学で取れるのか
級によって答えが変わります。
- 3級 — 独学が標準的な選択肢です。心配は要りません
- 2級 — 独学で取る人は多数います。ただし全員ではありません
- 1級 — 独学は少数派。可能ですが相当に厳しい
「独学で取れるか」より「自分の状況で独学が合理的か」を考えたほうが実用的です。期限が決まっているなら、確実性にお金を払う判断もあります。判断基準は独学が厳しいと感じたときの見極め方にまとめました。
3級を飛ばして2級から始めていいか
簿記が初めてなら、3級の内容から始めてください。受験するかどうかは別として、3級の範囲を飛ばすことはできません。
2級の商業簿記は3級を前提に組まれているため、仕訳の感覚がない状態で読み始めると最初の数ページで詰まります。
ただし「3級のテキストで学ぶ」と「3級を受験する」は別です。学んだうえで受験せず2級へ進む選択はあり得ます。詳しくは簿記2級をいきなり独学で受けていいかをご覧ください。
⚠️ 「簿記2級」には2種類あります
ここは誤解が多いので明記します。
日商簿記(日本商工会議所)と全商簿記(全国商業高等学校協会)は別の試験です。主催団体も出題範囲も異なります。
一般に就職・転職で評価されるのは日商簿記のほうです。私自身は商業高校在学中に全商簿記実務検定2級を取得しましたが、これは日商簿記2級ではありません。
履歴書には正式名称で書き分けてください。「簿記2級」とだけ書くと、面接で確認されたときに困ります。
費用の目安
独学で3級を取る場合の実費です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| テキスト+問題集 | 3,000〜5,000円 |
| 電卓 | 1,000〜3,000円 |
| 受験料(3級) | 3,300円 |
合計8,000円前後で取得できます。
福祉分野の会計については社会福祉法人会計簿記は独学できる?で扱っています。
2級は受験料が5,500円、テキストが4冊必要になるため、1万5,000円前後を見てください。
よくある質問
Q. 簿記は何級から履歴書に書けますか?
A. 3級から書けます。ただし評価の対象になりやすいのは2級以上です。
Q. 独学と通信講座、どちらが多いですか?
A. 3級は独学が多数派です。2級は分かれます。1級は講座利用が多数派になります。
Q. 3級と2級を同時に受けられますか?
A. ネット試験なら別日程で受けられます。ただし独学では負担が大きいので、順に取ることを勧めます。
Q. 簿記初級は取るべきですか?
A. 必要ありません。3級から始めて問題ないよう設計されています。
Q. 何歳からでも取れますか?
A. 年齢制限はありません。商業高校では在学中に取る生徒もいれば、社会人から始める方も大勢います。
※本記事は2026年8月時点の情報です。試験日程・受験料・受験資格は変更されることがあります。受験前に必ず日本商工会議所の公式サイトでご確認ください。
教材・期間・独学の限界の関係は、簿記独学ナビのまとめで一覧にしています。

