簿記1級は本当に必要?2級で足りる人と、1級を取るべき人の分かれ目

級別の勉強法

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1級の勉強を始める前に、1回だけ確かめてほしいこと

簿記2級に受かった。次は1級か——その流れは自然です。

ただ、その前に一度だけ確かめてください。

## あなたが欲しいものは、1級でしか手に入りませんか。

これは「やめましょう」という話ではありません。 必要なら迷わず取るべきです。必要でない人が、500〜1,000時間と半年以上を使ってしまうことが問題なのです。

まず、1級がどれくらいの試験か

日本商工会議所が公表している、1級(統一試験)の合格率です。

回 実受験者数 合格者数 合格率
第173回(2026年6月) 9,806名 2,076名 21.2%
第171回(2025年11月) 10,524名 1,604名 15.2%
第170回(2025年6月) 9,610名 1,343名 14.0%
第167回(2024年6月) 9,457名 992名 10.5%
第161回(2022年6月) 8,918名 902名 10.1%

直近9回の平均は14.0%。 そして——

## 1級にネット試験はありません。年2回(6月・11月)だけです。

2級はネット試験が随時あるので落ちてもすぐ受け直せますが、1級は次が半年後です。

「受かるまで2年」は、珍しい話ではありません。

目的別に分けます

あなたの目的 1級は要るか
税理士試験を受けたい 要ります(1級は受験資格の1つ)
会計事務所・税理士事務所で働きたい 強い材料になります
経理の専門職として上を目指したい 材料になります
就職・転職で評価されたい 2級で足りることが多い
経理の実務で困らない力がほしい 2級+実務経験のほうが近い
昇給・資格手当がほしい 勤務先の規程を先に見てください
会社の数字が読めるようになりたい 2級で足ります

⚠️ 税理士試験の受験資格の要件は変わることがあります。 目的にする場合は、必ず国税庁の公式サイトで最新の要件をご確認ください。

★「2級で足りる」が、いちばん多い答えです

求人票を見てください。

「日商簿記2級以上」と書かれている求人は、たくさんあります。 一方で「1級必須」と書かれている求人は、ぐっと減ります。

## 1級を持っていないから落ちる、という場面は、実はあまり多くありません。

そして、2級+実務経験のほうが評価される場面があります。 実際に決算を締めたこと、監査を受けたこと——これは資格では代わりになりません。

2級がどこまで評価されるかは、こちらに書きました。
→ 簿記2級を独学で取るのはすごい?就職や転職での評価を正直に解説

それでも1級に意味があるのは、こういう場合です

否定したいわけではありません。1級が効く場面ははっきりしています。

① 税理士試験への入口として

これがいちばん明確な理由です。 受験資格を得るための道筋として、1級には代えがたい位置があります。

② 会計の「なぜ」が分かるようになる

2級までは「こう処理する」を覚えます。1級は「なぜそう処理するのか」を扱います。

連結会計・企業結合・原価計算の理論——ここまで踏み込むと、決算書の見え方が変わります。

③ 分からない場所が分かるようになる

実務で困るのは「知らないこと」ではなく「知らないと気づかないこと」です。 1級の範囲を一度通っておくと、調べるべき場所の見当がつくようになります。

判断のしかた:先に「返ってくるもの」を書いてください

私は八百屋を14年やっています。設備でも人でも、お金を出すときに必ずやることがあります。

## いくら出すかを決める前に、何が返ってくるかを1行で書く。

書けないものには出しません。資格も同じです。

「1級を取ったら、具体的に何が変わりますか。」

  • 転職先が広がる → 求人を10件見て、1級必須が何件あるか数えてください
  • 資格手当がつく → 勤務先の規程を確認してください。金額も
  • 税理士を目指す → これは明確です。進んでください
  • なんとなく上を目指したい → その500〜1,000時間で、他に何ができるかも並べてみてください

正直に書いておきます

私は日商簿記1級を持っていません。 持っているのは全商簿記2級です。1級に受かった体験談を、私は書けません。

書けるのは2つだけです。

1. 公表されている数字(この記事の合格率は、日本商工会議所の受験者データから取りました)
2. お金と時間を出すかどうかの、決め方

経営者として、社会福祉法人の計算書類を毎年扱っています。数字を見て投資を決める部分だけは、毎年やっていることです。

「1級を取って人生が変わりました」と書いたほうが読まれるかもしれません。でも、それは嘘になります。

迷ったときの、現実的な順番

1. 2級の内容が本当に身についているか確認する — 抜けがあれば1級は必ず止まります
2. 実務で使ってみる — 使ってみて足りないと感じた部分が、次に学ぶべきところです
3. それでも足りないと分かってから、1級に進む

この順番なら、遠回りになりません。

→ 簿記2級は独学で合格できる?工業簿記の壁と突破手順を解説
→ 簿記1級の独学は現実的か?難易度と挫折しやすい理由を正直に解説
→ 簿記1級の独学に挫折したら専門学校?|合格率の数字で決める3つの分かれ道

1級は範囲が広く、テキストも複数冊になります。構成を見比べるなら、こちらから。

→ 楽天市場で簿記1級のテキストを見る

よくある質問

1級は「意味ない」と言われることがあります

目的次第です。 税理士を目指すなら明確に意味があります。「なんとなく上を」なら、2級で止める判断も十分に合理的です。

2級に受かった勢いで1級に進むべきですか

勢いは有利に働きます。 ただし目的を先に書いてからにしてください。半年〜2年の話になります。

1級を取らずに経理で昇進できますか

できます。 実務経験と、任される範囲のほうが効く職場が多いです。勤務先の規程を確認してください。

会社が受験料を出してくれます。それなら取るべきですか

お金より時間のほうが大きい投資です。 500〜1,000時間をどこに使うか、で考えてください。

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※本記事の合格率は、日本商工会議所「簿記 受験者データ」を2026年9月25日に参照しました。試験制度・受験資格の要件は変更されることがあります。受験前に必ず日本商工会議所の公式サイトでご確認ください。

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