勉強方法の核心は「読む3割・解く7割」です
簿記3級の独学でつまずく人の大半は、読む時間が長すぎます。
理想的な比率は読む3割・解く7割。テキストを読んで理解した気になっても、白紙から解けなければ試験では点になりません。この2つはまったく別の能力です。
商業高校で簿記を学んだ経験から言うと、伸びる人と止まる人の差はここでした。才能ではなく、時間の使い方の違いです。
この記事では、全体の手順ではなく1日をどう使うかに絞って解説します。手順の全体像は簿記3級の独学手順をご覧ください。
1日1時間の使い方(標準パターン)
| 時間 | やること |
|---|---|
| 最初の10分 | 前回の仕訳を10問(復習) |
| 次の15分 | テキストを1章読む |
| 残りの35分 | 読んだ章の問題を解く |
読む15分に対し、解くのが45分。これが「読む3割・解く7割」の実装です。
冒頭の10分を復習に固定するのが要点です。簿記は積み上げ式なので、前に進むだけだと土台が抜けていきます。毎回10問だけ戻ることで、忘却を止められます。
仕訳は「毎日10問」を2週間
最初の2週間は、テキストを進めるより仕訳の反復を優先してください。
ここで必ずぶつかるのが「借方(かりかた)」「貸方(かしかた)」です。左が借方、右が貸方と覚えても、なぜそちら側なのかは最初は分かりません。
私自身、仕訳の意味が腑に落ちるまでかなり時間がかかりました。そして分かったのは、これは理屈で理解するより量をこなすほうが早いということでした。
1日10問を2週間続けると、ある日から手が勝手に動くようになります。解説を10回読むより確実です。
復習のサイクル
忘却に対抗する仕組みを、最初から組み込んでおきます。
① 翌日:前日の範囲を10問
これが最も効きます。1日空けてから解くと、理解が定着しているかどうかがはっきりする。
② 1週間後:その週の範囲を通しで
週末に30分。間違えた問題に印をつけます。
③ テキスト1周後:印のついた問題だけ
全範囲を均等にやり直す必要はありません。間違えた箇所だけを潰します。
やってはいけない勉強方法
① テキストを全部読んでから問題に入る
最も多い失敗です。最後まで読み終える頃には、序盤を忘れています。1章読む → その章を解くを崩さないでください。
② ノートにテキストを書き写す
きれいなノートを作る時間があるなら、その分問題を解いてください。書き写しは作業であって学習ではありません。
③ 分からない箇所で止まる
1周目で全部分かる人はいません。印をつけて先に進む。簿記は2周目から見え方が変わります。
④ 週末にまとめて3時間
積み上げ式の科目では、間隔が空くほど前に戻ります。平日30分ずつのほうが確実に前へ進む。
つまずきやすい論点の攻略法
貸倒引当金 — 「まだ発生していない損失を先に計上する」という発想が直感に反します。理解しようとせず、処理のパターンを覚えるほうが早い論点です。
減価償却 — 計算自体は簡単ですが、月割計算で間違えます。期中に取得した資産のパターンを、必ず手を動かして確認してください。
決算整理仕訳 — 3級の山場です。日々の取引と違い、期末にまとめて行う処理をイメージしにくい。流れを図で押さえると楽になります。
過去問に入るタイミング
テキストを1周し終えたら、すぐ過去問に入ってください。「まだ理解が足りない」と感じても構いません。
理由は、過去問を解くこと自体が最も効率のいい学習だからです。出題形式に慣れ、時間配分を体で覚え、自分の弱点が明確になります。
必ず時間を計って解いてください。3級は時間との戦いになるため、解ける問題を確実に取る練習が必要です。
想定どおり進まないとき
100時間を超えても模擬問題が解けない場合、時間の問題ではなく方法の問題です。
まずは解く量を増やして2週間試してください。それでも変わらなければ、教材が合っていない可能性があります。判断の考え方は独学が厳しいと感じたときの見極め方にまとめました。
よくある質問
Q. 1日どれくらい勉強すればいいですか?
A. 1時間が標準です。詳しい配分は簿記3級の勉強時間をご覧ください。
Q. 通勤時間だけで合格できますか?
A. 仕訳の反復はアプリでできますが、決算整理などは手を動かす必要があります。机に向かう時間を確保してください。
Q. ノートは必要ですか?
A. 必要です。ただし書き写す用ではなく、仕訳を解く用です。罫線が広めのものが書きやすい。
Q. 何周すればいいですか?
A. テキスト2周+過去問が標準です。3周目に入るより、間違えた問題を潰すほうが効率的です。
Q. 電卓の使い方は練習すべきですか?
A. すべきです。本番と同じ電卓で、キー配置に指が慣れるまで練習してください。試験直前の買い替えは避けます。
※本記事は2026年8月時点の情報です。試験の詳細は日本商工会議所の公式サイトでご確認ください。
級ごとの進め方を最初から確かめたい方は、簿記の独学の全体像をご覧ください。

